東芝と国内銀行株

~ポイント~

・東芝向け融資残高はみずほ>三井住友>三井住友信託>三菱UFJ

・みずほは東芝の債務者区分を「要注意先」に。要注意先の債権の引当率は概して25.7%

・みずほ、三井住友は東芝の株式を約5万株保有

前回の記事では米国金利上昇に伴い、国内銀行株も上昇するのではないか、と綴りました。

その一方で、直近銀行株は上値の重い展開が続いており、1つの理由が東芝の経営不振にあると思われます。

東芝の置かれた状況はニュースのとおりですが、同社が巨額損失に陥る中、銀行としては同社向け融資の保全が大きな課題となります。

Bloombergの記事によると、「東芝の16年3月末の借入額は、みずほ銀行1834億円、三井住友銀行が1768億円、三井住友信託銀行が1310億円、三菱東京UFJ銀行が1112億円。」とのことで、メガバンクによる融資の巨額さが見て取れます。

三井住友銀行国部頭取からは「メインバンクとして、可能な限りサポートする」との考えが表明されたようですが、各行あの手この手で融資を回収・保全できるよう考えを巡らせているでしょう。

また、みずほ銀行では東芝の債務者区分を「正常先」から「要注意先」にしたとのニュースも出ております。一般的には融資先の区分を「要注意先」にすると貸付債権の毀損に備え貸倒引当金を計上することになります。

「今回は同社への融資などへの影響はない」、と報道されてはいますが、株式投資家からすると、将来的に引当金を積むのではないか、債権が毀損するのではないか等、具体的数値が未だ見通せないため不安を感じることでしょう。そこで今回は、その引当金がどの程度となるか把握できないかと思い、開示情報を読みあさってみました。

今回調べてみたのが、みずほ銀行の「決算説明資料」です(直近の資料はこちら)。

資料の2-24に「開示債権の状況」として債務者区分ごとの債権の引当率が記載されています。

例えば左上の破綻先、さすがにこれは引当率100%なのですね。続いて破綻懸念先は66.0%とあります。

ちなみに、非分類、Ⅱ分類、Ⅲ分類、Ⅳ分類、とありますが、金融庁の資料を見てみると、【Ⅰ:正常債権、Ⅱ:回収に注意を要する債権、Ⅲ:回収に重大な懸念のある債権、Ⅳ:回収不能債権】、と定義され、担保の質でもⅠ>Ⅱ>Ⅲ>Ⅳのような内容でした。

なるほど、このご時世銀行マンはニコニコお金を貸してくれますが、裏ではこのような感じで管理・保全されているとはさすがだなぁと感心です。

さて、話しが逸れましたが、続いて見てみると「要注意先」が出てきました、これですね。右下の枠には「債権額に対する引当率25.7%」と説明があります。

単純にこの引当率を東芝に当てはめることはナンセンスでしょうが、あくまで参考としては、みずほの貸付金1,834億円のうち25.7%の471億円が貸倒引当金として計上されることも1つの目安なのかな、と思います(※あくまで考え方の目安なのでご参考まで)。

同様に、他の銀行の引当金に関する情報も開示資料から読み取れますので興味のある方はご覧になってください。

また、みずほと三井住友に関しては同社の株式を56,343千株、51,003千株保有しており、3月3日時点の時価(1株213.3円)とすると、それぞれ120億円、108億円となります。

これらも当然株価下落により目減りしていますので会計上処理は必要となるでしょう。

会計上、銀行の政策目的で保有している株式は「その他有価証券」に分類され、価格変動に伴う評価差額はPLには影響せず、BSの純資産の部で「その他有価証券評価差額金」として処理されます(ちなみに、みずほFGの「その他有価証券評価差額金」は1.26兆円もあります。なんと凄まじい評価益・・・)

但し、会計上のルールにより、価値が取得価額に比べ著しく下落している場合は、下落率に応じて減損処理が必要で、評価差額がPLに影響することになります。東芝‐銀行も取引に長い歴史があるでしょうから取得価額も相応に低いかもしれませんが、こればっかりは分かりませんね・・・。

最近の株価動向では三菱UFJが三井住友、みずほに比べ頭抜けている感じですが、東芝の件も影響しているでしょう。東芝再生に向け、リーク禁物の水面下の交渉が中心となり、一般投資家は状況を知ることはできないと思いますが、この問題の解消を狙って(または、これくらいは大きな問題ではないと捉え)買い込んでおくか、それともリスクが顕在化することを見込んで買い控えておくか、判断の分かれる所かと思います。

私は現状の景気拡大局面やリスクオンの流れがこれらのリスクに勝ると考え、銀行株に売りが出てきたら安値で拾う投資方針を執っております。

東芝のニュースからは目を離せませんが、ステークホルダーの多くにとって最善となる解決がなされることを願うばかりです。

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