弁護士ドットコムの株価はどうなる?

今回も新興株となりますが弁護士ドットコム(6027)について簡単に分析しましたので紹介したいと思います。昨年からしばしば売買していまして直近はポジションゼロでしたが、4月の下げの際に買い戻してみました。果たしてどうなるか・・・。

①直近株価とヒストリカル

寄稿時(4月21日)の株価は810円、売買単位は100単元で、時価総額は176億円です。
直近高値から20%ほど下げましたが、日経平均との相関係数は0.20とかなり低く、外的要因にはあまり踊らされません。長い期間狭いレンジで動く傾向にありましたが、IRがけっこうしっかりしていて、良好な(というか期待させる)営業データを出してくるので2月, 3月は堅調に推移していました。

①上場時、公募価格1,230円(分割調整後410円)、初値3,880円(分割調整後1,293円)、②株式分割、③宝印刷と業務提携

②財務データ

2016年3月期は売上高成長率+61%(昨対比)、営業利益成長率は+88%(昨対比)と急成長中2017年3月期の通期予想は売上高16億円、営業利益4億円と、それぞれ+41%、+36%の成長を見込みます。当期純利益は2.4億円とまだまだ絶対額が小さいので、心もとなさはどうしても感じます。
ただ、有利子負債はゼロ、総資産12億円のうち現金は8~9億円、株主資本比率87%と体質は超絶細マッチョ。EBITDAは2億円超となる中、B/Sのソフトウェアは毎年2,000万円超増加しており、ちゃんと営業資産へ投資を行っている様子が窺えます。
なお、今期3Q時点の進捗率は売上71%、営業利益70%、当期純利益74%と決して余裕があるわけではないので不安が残りますが、後述の有料会員数の伸びが大きく増収の可能性があることと、利益未達の場合は広告宣伝費を削って着地調整してきそうなので(これは超勝手な想像ですが)、過度に不安視はしておりません。
ちなみに、PERは約70倍とかなり割高ですが、当期純利益が2.4億円にすぎませんので、高くなるのは仕方ないかなぁと人気の裏返しと考えています。

つづいて、売上と利益水準を視覚化したのがこちら。
営業利益率は約25%と比較的高い水準にあります。

販管費合計は直近3Q(2016/12末)の値が7.66億円。主な費用は人件費(3.76億円)と広告宣伝費(2.16億円)で、それぞれ販管費の49%、28%を占め、年々上昇傾向にあります。

広告宣伝費は今期3Qの時点で昨年通期の1.95倍もかけており、「弁護士ドットコムニュース」の配信など知名度向上作戦を行っていることが見て取れます。売上高広告宣伝費率(広告宣伝費/売上高)も18%となり、だい~ぶ広宣費使ってますね。売上に跳ね返ってくるといいな。

③営業データ

同社の事業は「弁護士マーケティング支援サービス」、「有料会員サービス」、「広告その他サービス」、「税理士マーケティング支援サービス」の4つに分けられ、それぞれの売上高は以下表のとおりとなります。弁護士マーケティング支援が圧倒的に大きいのですね。

それぞれのサービスの売上高構成比率も出してみました。
クラウドサイン(後述)が伸びて有料会員サービスのシェア上がってるかな~と思ったりしましたが、前期末と直近3Qのシェアはほとんど変化無しでした。

以下のグラフを見ると、有料会員数は前期3Q対比36%増、有料会員登録弁護士数も前期3Q対比30%増となっています。その一方、売上高は前期3Q比51%増なので、既存の有料会員が継続してサービスを使用していることが推察されます。
また、2017年4月17日のプレスリリースで、西村あさひ法律事務所、森・濱田松本法律事務所も同社の企業法務ポータルサイトに登録したと発表されております。アンダーソン・毛利・友常法律事務所も既に登録済みで、日本の四大弁護士事務所のうち、3つの事務所が弁護士ドットコムのサービスに登録しているというのは、法サービスのプラットフォームとしてもかなり信頼性、ブランド力があるように感じます

その他、同社は「クラウドサイン」というサービスを展開しており、これには期待を寄せています。このサービスは当事者間の契約をクラウド上で締結することができ、その契約の保管・管理もクラウド上で可能。また、電子データでの契約となるため、ペーパーでは印紙が必要となる契約でも、クライドサインを使えば印紙が不要となり、ユーザーとしては費用削減にもなります。

以下の表はクラウドサインの累計契約締結件数ですが、2016年3月に1万件だったのが、2017年3月には6万件と急拡大しています。導入企業の一覧も以下にあるとおりですが、クレジット会社、人材派遣会社、クラウドソーシングといった多数の同じような契約を扱う会社にとっては楽チンなのでしょう。実際の契約書のデリバリーが省かれるだけでも導入企業にとっては運賃や労務費などのコストも減らせますしね。

その他にも、2017年1月13日付で弁護士ドットコムと宝印刷との業務提携のリリースも行われています。そこでは、弁護士ドットコムの専門家ネットワークおよびクラウドサインなどのリーガルテックと、宝印刷の企業ネットワークおよびディスクロージャーコンテンツを相互連携される旨が謳われており、双方の強みを活かした斬新なサービスが生み出されることを期待してしまいます。

④経営陣、主要株主

代表取締役兼CEO 元榮 太一郎氏

創業者でありCEOの元榮太一郎(もとえ たいちろう)社長。なんと元榮社長は2016年7月の参議院選で自民党候補として議員当選しましたので議員も兼任しております。政治家になると何かとマスコミからすっぱ抜かれそうだし、本業に注力してもらいたいな~と個人的には思っていたのですが、2017年6月の株主総会にて代表取締役会長に異動する旨のプレスリリースが2017年4月17日に行われております。議員業と社長業、ともに多忙すぎて兼任はかなり無理があることだと思います。会長職になってもらい、そこでロビー活動してもらうのが会社にとってもメリット大きいかなと感じております。

次期代表取締役社長 内田 陽介氏

上記と同じプレスリリースにて、内田陽介氏が次期代表取締役社長に就任する旨が発表されております。同氏は三菱商事入社後、カカクコム取締役、みんなのウェディング代表取締役などの職歴があり、インターネットサービスに精通されておられる模様です。「専門家をもっと身近に」を同社は謳っておりますので、内田新社長には斬新なサービスをどんどん提供してもらいたいですね。

つづいて、主要株主は以下のとおり。筆頭株主のTIM株式会社は元榮氏の会社なので、弁護士ドットコムは完全に元榮氏が保有する会社となっています。2015年9月末にはデジタルガレージ系の「株式会社DGインキュベーション」が第四位株主だったり、上場時には大前研一氏が同社の大株主となっていましたが、直近の平成28年9月末には見当たらなくなっています。

⑤最後に

おさらいとしまして、弁護士ドットコムは売上と利益の順調な拡大と、健全なバランスシートを大前提にして、そこに斬新なビジネスモデルが乗っかって、PERが70倍と高い評価になっているのかなと思います。

今後も着実に弁護士マーケティングサービスを積上げていくことと、クラウドサインといった革新的なサービスを拡大させて、収益にもつなげてもらいたいですね。特にリーガルテックにも力を入れていますので、話題性のあるAI企業との提携であったり、長時間労働や未払残業代など労働法務マターはまだ熱いネタですので、急に盛り上がりを見せたりといったことにも期待したいところです。
ただ、同社は契約書等機密性が特に高いデータを扱うため、ハッキングなど顧客情報の保全にだけは万全を期してもらいたいところです。

さて株価はどうなるか・・・。
そもそもPER70倍なので、かなりのプレミアムが乗っかってオーソドックスなバリュエーションなんて意味をなさない感じですが、毎年の3割成長を前提に、直近高値の967円、さらには1,000円の壁を越えていってもらいたいところです(かなり感覚的・・・)。広告宣伝費のかけ方にも見られるように認知度、顧客数も拡大しており、まだまだパイはあるでしょうから2,3年かければ純利益も現在の2倍、5億円いってもおかしくないと思います。

ちなみに、以下では成長率とPERをベースにして株価をシミュレーションしてみました。現在の成長を前提とすると3年後に株価は倍になることもあり得るでしょうが、毎期3~4割成長なんて相当大変なことですし、何があるか分かりませんので投資は自己判断で行ってくださいませ(※初稿UP後に本段落追記。少しは定量的に評価せねばと思いまして・・・)。

弁護士ドットコムの決算発表は5月15日(月)に予定されています。いつも良好な決算を出してくるかと期待するものの、計画近辺と肩透かしが多い会社ではありますが、財務が安定し、独自のビジネスモデルを持っている会社ですので、株主としてはどっしりと構えて応援していきたいと思います。

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