金融資産の相続について ~生前贈与のススメ~

先日TVを見ていると、アパートローン融資が膨張しているニュースが流れていました。理由は、相続の対策としてアパートを保有している人が増えているからとのこと。へ~、そうなんだ~と思いながらも、個人的には相続を意識するほどの御家柄ではないのでリアリティを持って考えることはないのですが、金融資産の相続を考えるご年配の個人投資家さんもこの世の中多いでしょうから、金融資産の相続のルールはどういったものになるのか、専門家に教えてもらいました。

今回は、現金預金、株式、投資信託といった金融資産を相続することになったときに、相続税の取り扱いはどうなるかについて考えていきます。金融資産は、不動産に比べると遺産分割がしやすく、相続税を納めるときにも換金しやすく比較的便利なことはたしか。その一方で、不動産のように評価額が減額されることはなく(後述)、あくまで時価で評価されるため、保有する金融資産が多いと相続税の負担は重くなる傾向にあります。したがって、金融資産の一部を不動産や保険に変えておく、あるいは生前贈与を行うことであらかじめ財産を移転するなど、節税につながる方法を前もって検討しておくことが推奨されます

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①そもそも相続税とは?

相続税については、誰でもなんとなく聞いたことはあるかと思いますが、簡単にその仕組みを頭に入れておきましょう。

相続税とは、人の死亡によって、財産を取得した人が納める税金となります。相続税がかかる資産とは、本来の相続財産(土地や家屋、現預金、有価証券など経済的価値のあるもの)と、みなし相続財産(生命保険や死亡退職金のように死亡が原因で相続人が受け取る財産)、そして一部の贈与財産の3種類となります。

  • 相続財産(土地や家屋、現預金、有価証券など経済的価値のあるもの)
  • みなし相続財産(生命保険や死亡退職金など)
  • 一部の贈与財産(低額譲渡など一定の条件で贈与された財産)

上記の相続財産から、借入金や未払金などの債務を引いたものが、正味の遺産額になります。その正味の遺産額から、「基礎控除額※」と呼ばれる金額を引いたものが「課税遺産総額」となり、それらを残された家族で按分・税額計算を行うという流れとなります。金融資産の相続のルールはこれに当てはまり、時価のあるものは時価で、時価の無いものは国税庁の定める方式により算出された価額で評価されることになります。
(※基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の数)

なお、正味の遺産額が基礎控除額以下の場合には、相続税はかかりません。
つまり、最低でも相続人が1人いたとすれば、3,600万円を超える遺産でなければ相続税はかからないということになります。相続人が2人いれば4,200万円、3人いれば4,800万円を超える遺産でなければ相続税がかかりません。これが、「ある程度の金持ちにしか相続税はかからない」と言われる所以でしょう。

また、生命保険金や死亡退職金については、非課税限度額が設けられています。それぞれ、500万円×法定相続人の数を超える部分の金額が、課税遺産総額に含まれてくることとなります。

②不動産の相続税評価について

さきほど述べたように、金融資産の相続に関しては不動産のように評価額が減額されることはなく、あくまで時価で評価されることになります。
ここで補足として、不動産の評価方法は以下のとおりとなっていますので、頭に入れておきましょう。

  • 土地の相続税評価額
    ①路線価がある場合は路線価に基づいて算出(路線価方式)
    ②路線価がない場合は固定資産税評価額に地域ごとに定められた倍率を乗じて算出(倍率方式)
  • 建物の相続税評価額
    固定資産税評価額を使用

上記で算出された土地の相続税評価額は概ね時価の60~70%の金額、建物の相続税評価額は建築費のおよそ50~80%の金額となり、さらに居住用の土地は不動産の評価額を下げる事も可能です(小規模宅地等の特例)。

このことからも、1億円の土地を相続する場合と1億円の現金を相続する場合とで、相続税の負担が大きく変わってくることが分かると思います。

ただし不動産は換金性が悪く、賃貸する場合はメンテナンスなどの費用や空室が発生するリスクもあります。中長期的な視点に立ち、不動産経営を行う必要があるため、比較的労力がかかるともいえるでしょう。

このように、相続をする際には、上記を踏まえたうえで、金融資産と不動産の両方を最適な形で保有しておくのが経済的にもメリットが大きいようです。また、多額の金融資産がある場合には、その一部を不動産や保険に変えておく、あるいは生前贈与を行うことであらかじめ財産を移転するなど、節税につながる方法を前もって検討しておく必要もあります。

③非課税枠を利用した生前贈与を行い節税しよう

一般的に多額の金融資産を保有している方の場合は、子どもや孫に生前贈与をすることで、死亡後に相続されることになる財産を減らしておくことが得策となります。生前贈与の方法にはいくつかのやり方があり、以下のような方法が代表的なものとなります。

①住宅取得や教育資金としての贈与
親や祖父母が、子どもや孫が住むための住宅取得資金を贈与する場合は、一定の金額が非課税(平成29年度中の契約締結で最高1,200万円)となる制度があります。
なお、住宅取得の契約時期と、取得する住宅の種類によって非課税額が異なるため、詳細は確認する必要があります。

また、子や孫の教育資金のための贈与は、1人につき最大1,500万円まで、結婚・子育て資金は最大1,000万円まで贈与税が非課税になります。これらについては、金融機関に受け取る子や孫の口座をつくり、そこに一括で資金を預けるという流れとなります。資金を受け取った子や孫は、条件に当てはまることを前提に、領収書を添えて資金を引き出すことが可能となります。なお、教育資金については30歳、結婚・子育て資金は50歳になった時点で口座にお金が残っていれば、贈与税の課税対象となるので留意ください。

②株式の贈与
生前贈与は金銭に限らず行うことができ、株式の贈与も可能となっています。贈与税については、1人の人が1年間に受け取った金額が110万円を超えた場合だけ、超えた金額に課税される仕組みになっています。
したがって、株式の評価額は贈与時点の時価になりますが、年間の非課税額の範囲で少しずつ子や孫に株式を贈与することが可能となります。また、その後に支払われる配当についても子や孫が受け取ることになるため、メリットがあるといえるでしょう。

将来、確実に値上がりが期待できる株式の場合、相続時に一括で課税されるよりも、少しずつ生前に贈与したほうが、受け取る人の税負担は抑えられるでしょう。
また、非上場会社の株式についても、評価額の低いうちに、例えば経営を引き継ぐ予定の子に少しずつ贈与するということが考えられます。また、事業承継に合わせた自社株式の贈与については、相続税・贈与税の猶予および免除の特例もあるので、該当する場合には必ず確認しておく必要があります。
なお、非上場会社の株式の評価は、相続や贈与などで株式を取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力を持っている同族株主か、それ以外の株主等かの区分により算定方式も異なり、類似業種比準方式、純資産価額方式、配当還元方式といった手法により算定しますので、税理士など専門家に相談しながら算定する方が安心そうです。

このように、特に金融資産を保有しており、相続することが見込まれる方は、予め計画をして生前贈与を行っていくことが節税面で望ましいようです。
多額の資産を保有する人にはその人なりの悩みがあると聞きますが、一度そんな悩みを抱えてみたいものですね。私も保有株式が一気に膨らんで、「こんな財産使い切れね~!この相続はどうしようか~!」と言ってみたいものですが、今のところまだまだ妄想を続けるしかなさそうです。笑

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