地方の仕事の探し方と特徴

さて、前回の記事では地方移住のメリット・デメリットを総論として書いてみました。

今回は地方移住する際にまず考えるであろう、「地方の仕事」について、仕事の探し方から特徴など思い当たることを書いていきたいと思います。

スポンサーリンク

①地方の仕事の探し方

・ハローワーク

地方の求人情報と言えばハローワーク。都会で仕事をしている人にとってはおそらく馴染みの少ないものでしょう。こんな言い方も良くないですが、ハローワークはなかなか仕事を見つけられないような人が行く場所だと思っていました。

しかし地方は違います。人材を募集する企業としてもハローワークの求人掲載は無料だし、田舎になると人材紹介会社の営業も入ってこないので、地域の企業は管轄のハローワークに頼ることが多くなります。

ハローワークのウェブサイトで各エリアの求人情報を見ることができるので、地方で仕事を探している方はまずここを見てください。

・人材紹介会社、ウェブ

地方求人としてIターンやUターンに特化している人材紹介会社もあります

人材紹介会社の場合は紹介料が発生することもあり、企業の幹部、幹部候補など、比較的給料が高い人材を取り扱う傾向があるように思います。ただ、企業サイドとしては高額な紹介料を支払う必要があるので、人材に切羽詰った状態でなければこういったサービスを利用しないのかなと思います。

一般的に紹介料は年収の30%と言われていますので、年収が400万円としたら紹介料は120万円となり、儲かっている企業ならいいですが、実際働いてみての能力や長く勤めてくれるかどうかも分からない人材獲得のために、大金を使うとなると地方の中小企業にはハードルの高い金額のように感じます。

また、DODAやマイナビ転職のようなコンサルタントを介さないウェブサイトにも地方特集ページもありますので、こういったサイトを定期的に訪れて求人情報をチェックしておくこともお勧めします。

・直接申込み

就業してみたいと思えるような企業があり、そこのホームページなどで求人情報が出ていればそれはベストです。しかし、中には採用予定はあるけどホームページなどに求人情報を出していないような企業も多くあるように思います

中小企業においては人事、総務、経理といった管理業務を1人のスタッフが行っている場合もあり、手一杯で求人情報公開に至っていないこともあります。そのため、気になる企業があれば電話などして求人情報を直接聞いてみることもお勧めします。企業サイドからしても、そのような問い合わせがあれば、うちの会社も評価されたものだと喜ばしく感じることでしょう。

ただ、そこで上手く採用に至ったとしても、そもそも人事にまで手が回っていない企業ですので、入社後に悪気は無いのだけれど放置プレーになり、なんだかユルユルだなぁ、これでいいのかなぁ、と都会の企業とのギャップを感じる可能性もあり得る点を踏まえておきましょう。

②地方の仕事の特徴や内容

・業種、職種の幅について

業種、職種は都市圏に比べ企業数自体が少ないが故に、結果として幅が小さいように感じます。地方に多い中小企業では、社員数が少なく1人の社員が網羅的に何でもやらなければならないので、経営企画やマーケティングといった専門職としてのポジションは少ないように感じます。

また、都会と地方で企業数がどれくらい違うのかな、とちょっと気になったので中小企業庁のデータを取ってみました。以下表をご覧ください。

東京の企業数は45.2万社です。
比較サンプルとして、2016年移住希望地域ランキングトップ3(*)が上から順に、山梨県、長野県、静岡県なのでそのデータを取ってみると、それぞれ3.2万社、7.7万社、12.7万社となり、東京の7%~28%程度となっています(*ふるさと回帰支援センター集計)。

地方の肌感覚としては、求人としてハローワークなどに出ているのは医療、介護、調理、土木、電気設備、運転手、配送員、農作業といった体を使う仕事の求人が多いように感じます

銀行や公務員といった、いわゆる手堅い職の求人はオープンにはほとんど見かけません。
ただ、まれに行政のホームページで見ることもあったりしますし、非公開求人にあるかもしれませんので、人材紹介会社やサイトを当たってみるのもよいかもしれません。

その他、行政が主体となる「地域おこし協力隊」の募集も行われています。これは、都市からの移住者を受け入れ、地域のブランディングや地場特産品の開発・販売活動といった地域おこしを隊員が行いながら、隊員のその地域への定住・定着を図る制度となります。

給料は16万円程度から高くて20万円程度。16万円はちょっときついなぁと思う部分もありますが、住宅は提供され、副業もOK、週4日勤務といった場合もありますので、地域と一緒に頑張っていきたい、田舎ならではの繋がりを持ちたい、起業を前提に移り住みたい、と思う方はぜひ地域おこし協力隊のサイトを覗いてみてください。

このような地域おこし協力隊の情報をまとめたサイトもあります。

・会社通勤は相当楽ちん

地方勤務の一大メリットはストレスフリーな通勤と言えるでしょう。

私の身近にも家から会社まで通勤1分という人もいます。また、車通勤が基本ですので、家から会社までは完全に自分だけの空間です。東京にいた際は東西線沿線に住んでいたこともあり、今となってはいい思い出ですが、日々朝から消耗しておりました。あまりの車両内の人口密度と熱気で空気が薄くなり、男のくせに貧血になったり、前夜に蒙古タンメン中本を食べた時には満員電車の中でお腹がヤバい状態になったりと(笑)

しかし地方、とりわけ田舎のエリアになると山や海を眺め、窓を開けて澄んだ空気を吸い、時にはコーヒーを飲みながら出社することができます。たぶん、これだけで1日の疲労度が大幅に違ってくるように思います。

・日々の業務は都会対比スロー

地方は良くも悪くも昔ながらの昭和チックな伝統が残っており、形式的な朝礼があったり、ラジオ体操が行われたり、皆で清掃活動をしたりと都市圏のビルでオフィスワークをやっていた人からすると驚きとなるようなことがあります。また、ライン系の工場業務はキチッと、サービス系の職種は繁忙時は忙しいですが、それ以外は比較的ユルいイメージがあります。ランチタイムは弁当持参で休憩所で同僚とお昼のTV番組を見ながら談笑といったことも。

仕事の流れは都会とそんなには変わりませんが、だいぶスローペースだったり、資料もラフだったりと求められるクオリティーはそんなに高くありません。そのため、都会でビジネスを叩き込まれた人からすると、容易に仕事をこなすことができ、すぐに地域のエース格のビジネスパーソンになれるように思えます。なお、上で軽く触れましたが、社員1人に課される仕事の幅が広いので、意欲を持って仕事に取り組める人は、都会での仕事以上に自由度が高く感じるかもしれません。

・組織によくある特徴

昔ながらの会社では、電話やFAXの多用等かなりアナログな営業手法が残り、財務経理は帳簿だけ社内でつけて後は税理士に丸投げといったレトロなシステムが生き残っていることがあります。また、特にITやウェブ戦略に弱い傾向がありますが、企業によっては若い年代の社員がその面で活躍している場合もあるように感じます。

その他、地方には大企業が少ない分、オーナー企業が多いように感じられます。そういった会社ですとオーナーの鶴の一声で様々な物事が超スピードで決まったりと、都市圏のサラリーマン企業とは良い意味で意思決定の流れが違い、興味深く感じることがあります。

③賃金

肌感覚では給料も額面16万円とか、時給850円とか低いように感じますが、客観データとして毎月勤労統計調査から都道府県ごとの賃金データを取ってみました。

これを見ると、移住ランキングトップ3の山梨、長野、静岡は東京と比べて25~30%程度賃金は低い傾向にあります。しかし家賃は1/2~1/3程度、食費も半分ちょっとと、可処分所得は高いように思います。ただ、地方は平均年齢が東京に比べ高いように思いますので(すみません、ここはデータ未調査)、同じ年齢で比較した場合、地方では更に賃金が下がっている可能性があります。

ちなみに、ハローワークのデータを見てみると営業職(おそらく歩合制)や薬剤師、エンジニアといった特殊能力を持つ場合は月給50万円超というのもあるようです。

その他、年功制の会社が地方にはまだかなり多いように感じます。地方では終身雇用が大前提、持ち家が基本となり、多くの人が住宅ローンを組んでいます。20年~30年のローン元利金返済が組まれたライフプランの中に、成果主義といった変動的な給与体系が持ち込まれると、考え方も硬直した組織で、また、先輩後輩の関係が根強く残る地域では、組織の仕組み自体が崩壊してしまうため、成果主義の賃金体系はなかなか導入しづらいのかなと思っています。

④ワークライフバランス

休日については、土日休みの企業もあれば、サービス業のように不定休など、都心と一緒かと思います。ただ、中には休みは週1日といった企業や、仕事と私生活の距離が近いため休日だけど会社の行事に参加しているなど、都会に比べ仕事と休日の境目が小さいように感じます。例えば、会社の部署内でLINEの連絡網を作り休日にも連絡が来る、といった事例も耳にします。その他、上表の「毎月勤労統計調査」には都道府県ごとの出勤日数も記載されていますが、田舎と呼ばれるエリアの方が都市圏よりも出勤日数が多いことが見て取れます。

また、勤務時間については、地方ではカッチリと決まっているところが多いように思います。残業は都心に比べると少なく、深夜残業を行っている企業はごく稀で、仕事が終わったら家に帰って家族でご飯を食べている人が多いように感じます。ただ、宿泊業や飲食業といったサービス業は昼夜境は無く、地方は人材が少ない分、都心に比べ労働環境はキツイように思います。

また、アフターファイブについては、都心では仕事帰りに飲みに行くことも多いでしょうが、田舎になると車通勤になるので、飲み会も歓送迎会や忘年会など「行事」としてのものが中心であるように感じます。電車通勤となる地方中核都市なら飲み会もそれなりにあるようです。

⑤地方の仕事について改めて思うこと

つらつらと地方の仕事のことを書いてみましたが、企業に属して働く場合はこのような感じかなと思います。給料は下がる傾向にありますが、生活コストは下がりますし、自らの仕事の裁量も能力次第でかなり上がり、仕事面でも充実した生活を送れるように思います。

都会のいわゆる一流企業では優秀な人材が豊富で、また、意識せずとも組織内競争の中にあると思いますが、そういった人たちが大企業を離れ、地域の中小企業で力を発揮した方が、本人にとっても、地域にとっても良いような気がします。ちゃんとビジネスを行ったことがある方ならすぐにでも地方企業の参謀になり、社長との相性次第で意思決定をズバズバやっていくことができるように思います。

また、自営業、起業など、自ら生計を立てていける人にとっても地方ビジネスの可能性は大いにあると思います。イケダハヤトさんの例は特殊に思えるかもしれませんが、商売のやり方やアイデアと、その商売の地域とのマッチ度合いによっては、同氏のように抜きん出て地域で活躍できるように思います。また、ウェブエンジニアや、クリエーターなど場所に捉われない職の方は地方でも仕事はできるでしょうし、なおかつ、地方にはそういった人材が不足しているため、営業力次第で需要を掘り起こしていけるかなと思います。

べつに地方、田舎暮らしをゴリ押しする気は無いのですが、やっぱり地方の方が仕事面でも無理のない充実した生活を送ることができ、合理的な気がします。個々の性格やライフステージによって満足度は異なると思いますが、また時間を見つけて、地方での生活のことや地域との関わりについても綴っていきたいと思います。

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする